Lack of Oxygen and Beyond

-Smalltalk on hypoxia biology-

#4-様々な低酸素応答

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4-様々な低酸素応答

生体にはさまざまな低酸素応答が存在する。

頚動脈小体-舌咽神経、大動脈体-迷走神経を介して動脈血酸素分圧の低下のシグナルが呼吸中枢に送られるものが教科書的には知られている。動脈血酸素分圧が60 mmHgを下回れば、頚動脈小体のglomus I型細胞からドーパミン、アセチルコリン、ATPなどの神経伝達物質が放出され、呼吸中枢が刺激される。

酸素分圧が12.5%程度の気体の吸入をヒトが吸入すれば遅くとも15分以内に動脈血酸素分圧は50 mmHg程度に低下し肺動脈圧は1.5倍程度上昇する。つまり低酸素性肺血管収縮反応(hypoxic vasoconstriction; HPV)が起こる。このようなシステムは、血液中の酸素分圧の変化を感知し主に呼吸数、換気血流比の調節を含む呼吸システムの調節に関わっている。

ヒト肺動脈内皮細胞を分離し、20%酸素条件(95%air/5% CO2)下と1%酸素条件下(1%O2, 5%CO2, 95%N2)で24時間培養した後にRNAを細胞より抽出しDNAマイクロアレイを用いて22,283個のプローブを用いた発現解析を行ったところ有意に発現が上昇したものが845個、有意に発現が抑制されたものが1072個あったという報告がある。

またヘモグロビンは分子レベルでの低酸素応答の好例である。ヘモグロビンは、α,βの2種類のポリペプチド鎖各々2本で構成される四量体であり、1つのヘムに酸素が結合するとタンパク質の立体構造が変化し、他のヘムにも酸素が結合しやすくなるという性質を持っている(アロステリック効果!!)。酸素と直接結合するタンパク質が酸素センサーと機能していて、酸素濃度の変化が立体構造の変化に変換され蛋白質の活性(ヘモグロビンの場合は、酸素分子との結合能であるが、酵素であれば酵素活性が)が変化する。

このような様々な低酸素応答を分類してみる。

時間の視点からは

  • 急性応答

  • 亜急性応答

  • 慢性応答

という分類が可能である。


  • 個体レベル

  • 臓器レベル

  • 細胞レベル

のような分類も可能である。”3-低酸素”で解説した”低酸素”は個体レベル、臓器レベルでの低酸素に力点を置いている。

馴化、トレーニングは個体レベルの応答であるし、呼吸応答、肺血管の収縮などは臓器レベルの応答といえる。

また別の観点からは

  • 遺伝子応答を伴うもの

  • 遺伝子応答とは直接関連のないもの

とも分類できる。

さらに

  • 酸素分圧の変化がどのような機序でセンスされているかで分類もできる

このように低酸素応答にも様々なものが存在のであるが、まず遺伝子応答を伴う低酸素誘導性の遺伝子応答に焦点を絞って低酸素応答について以下考えていく。

低酸素応答のいろいろ.jpg

生体の低酸素応答は、遺伝子応答の有無、迅速性、また応答を惹起する酸素分圧により様々に分類できる。

このような多様な低酸素応答にはそれぞれに対応する酸素分圧感知機構が存在すると考えられる。

Written by bodyhacker

5月 5th, 2009 at 7:39 am

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