Lack of Oxygen and Beyond

-Smalltalk on hypoxia biology-

Archive for the ‘FIH-1’ tag

#13-02 陽性クローンが取れた!!

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紆余曲折を経たスクリーニングの結果、陽性クローンが取れてきた。

しかし数がすくない!!

以前の経験から考えると格段に数が少ないわけです。かなりやばい感じがしました。しかも1:1のアッセイではそうまあまあの強さのものもあるのだがそれを除けば全然だめだというようなものも多く完全に意気消沈してしまいました。

気を取り直してとにかく陽性クローンをシークエンスすると、論文が一つだけ存在して名前のついているものとESTの中には入っているが機能やなどまったく未知のクローン(clone 518と名付けた)と二種類に分かれるーといっても陽性クローンの絶対数は絶対的にすくないのだがーことが解った。

使ったライブラリーはHA-tagが付いたものであったが、clone 518のframeがあっているかどうかはこの時点では判断がついていなかった。独立したクローンでなく同じものが数個釣れてきていただけだったからだ。とにかくHA-tagごとプラスミドを入れ替えてHEK293細胞で強制発現できるようにして次の段階に進むことになった。

誰が考えても以下の実験くらいはする必要はあった。

つまり免疫沈降、in vitroでの相互作用の検討、HIF-1の活性への影響などなどから始めると同時に、取れているクローンーHA-tagの後に都合よく開始コドンがin-frameで存在したーの実在性(対応するmRNA, 蛋白質が実在するかどうか)の検討などなど。

293細胞に過剰発現させて抗HA抗体での免疫沈降がConnor君によってまず試みられた。みごと玉砕、というか系がworkしていなかったと思う、ぼくの見るところ。

ここら辺からGLSとぼくのConnor君へのプレッシャーがきつくなりとうとうConnor君が登校拒否的な行動をとるようになってしまった。

GLSとぼくで相談して、仕方ないのでぼくも実際に実験をすることになった。

GST-tagのクローンの作成とin vitro interaction assay、reporter assayでのHIF-1活性への影響、HIF-1α transactivation活性への影響などを調べたところ想定していたような属性をclone 518が持つことが判明した。

気をよくしたConnor君は何事も無かったかのように復帰しRACEを手がけることになりぼくは抑制の機序を探るべく新たな実験に突入することになった。

ぼくは、今までしていた実験は当分お預け。

しかし、毎日毎日データが小気味よいほど出てこれほど楽しかった時期はなかったと記憶している。

実験に”失敗”することはほとんど無かった。実験手技はこの時期にはぼくにとっては黄金期にさしかかっていた。

RI切れとかたまにありその場合お昼で実験中止で気体区していたりしていた。このような事態になっても7時に出勤16時には帰り土日は休みという生活はそのままだった。

まったくよい時代でした。

<続きます>

Written by bodyhacker

9月 2nd, 2009 at 10:43 pm

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#13-01 多難な船出

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GLSの研究室ですることは決めていたので早々にplasmidの回収などの仕事を始めた。

研究室は京都の麻酔科の研究室と比較しても見劣りするような設備でかなり心配したのだが,ぼくが計画したものは分子生物学の基本的な研究だったので特に苦労もなくすぐに成果が出た。

効率よく自分のペースで実験を進めたかったので朝6時には家を出るようにした。それでも半年以上を費やしたが一年後には実験はすべて終わっていた。投稿したら何も追加実験も無しに通してくれた。

これと平行してGLSに頼まれたHIF-1aの変異体の発現アデノウイルスを作る仕事を進めた。提示された方法ではうまくいかず2ヶ月ほど棒に振った。業を煮やしてBV(Dr.Bert VogensteinはJHUではこう呼ばれていた)から分けてもらったpAdEasy法を採用してからはトントン拍子に進んで無事ウイルスが完成した

ー一式を受け取りに彼のラボを訪ねてGLS研との格差にびっくり。今の京大の基礎と臨床の研究室の構造的な格差以上の格差!! ー。

組み替えを起こす大腸菌がすでに市販されていてラッキーだっただけなのだが。

加えて、アイルランドからきていたポスドクのConnor君のyeast two-hybrid systemを使ってHIF-1aの転写活性化ドメインと結合する蛋白質を単離するというプロジェクトを手伝うことなった。ぼくには京都での経験があったからだ。

Connerは典型的なヨーロッパ的な生活習慣を守っていた。研究室には10時過ぎに現れる、お昼御飯は一時間かけてとる、午後7時は帰宅する、原則土曜日・日曜日は研究室に来ない、などである。

ーそもそもGLS lab.では当時週末に働く習慣は誰も持っていなかった。それであれだけの成果が上がっていたのだから恐れ入った。長い時間labにいるだけが能でなということが理解できた。ぼくも結局土曜日・日曜日は原則研究室に行かないことにした。土日を休んでも研究はどんどん進んでいった。理由は簡単で麻酔というか臨床活動をしなかったかららだ。7時から16時まで研究するだけで9時間。京都にいたときに較べれば一日あたりの研究時間は遥かに長いわけだ。考えるとこれは退路が断たれたような状況だ。ろくな研究があがらないのは臨床をしているからだという言い訳が通用しないという状況ー

最終目的は以下のような性質を持つ蛋白質をとることであった。

つまりHIF-1aのtransactivation domainに結合して、願わくは酸素分圧依存性にHIF-1aの転写活性の調節に関わる,という性質である。

研究の背景にはGLS labから発表されていた論文がある。

この論文で同定されていたIDに結合する蛋白質を転写活性化の文脈で単離をすることが直接の目標であった。このプロジェクトが最終的には成功した理由は、転写活性のアッセイ系が曲がりなりにも確立していたということだと思う。様々な研究も何かものをいうにはしっかりした検証系の存在が必須なのであるということを学んだ。漠然としたアイデアなど研究には全く役に立たないのだ。

実験手技上の問題点はこのアッセイの原理を知るものには明らかだった。転写活性化ドメインを含む領域をbaitに使うことによるバックグラウンドの高さである。偽陽性のクローンが多数釣れてくることが予想された。ここの条件設定に手間取り立ち上がりに時間を要した

ー時間がかかったのはもちろん実験に内在する困難だけではなくタダ単にConnor君の要因もあったー

そもそもライブラリーもお金をケチってよそのラボにもらったものを使っていたし計画には当所から暗雲が立ちこめていた訳である。

実験が開始された後も酵母のインキュベータの温度が37℃のままだったりとかしてなかなかうまくいかないということが続いて前途多難な船出でだった。

GLS; Gregg L. Semenza

JHU; Johns Hopkins University

ID;inhibitory domain

<続きます>

Written by bodyhacker

9月 1st, 2009 at 11:09 pm

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#13-0 FIH-1物語

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10年前のこの時期に家族4人で渡米しました。

渡米中の一番大きな学問的なtopicsはFIH-1のcloningだと思っています。

同じHIFalpha-hydroxylaseでも何かと陽の当たるprolyl hydroxylaseと比較して日陰者のFIH-1の遺伝子単離の経緯を書いて見ようと思います。

3回くらいにわけて書き始めています。順次載せていきます。

Written by bodyhacker

8月 29th, 2009 at 9:58 am

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