嘘発見器よ永遠なれ:「正義の機械」に取り憑かれた人々(原題はThe lie detector:The history of An American Obsession)

図書館で偶然発見しましたのですが,日曜日の日本経済新聞の書評でも紹介されていました。

噓発見器は一種のポリグラフで20世紀の初めにカリフォルニアのバークレーである事件の解決のために使用されたのは始まりだそうです。その後嘘発見器としてのポリグラフはキーラー・ポリグラフとして特許を二人のうちの一人であるキーラーにより取得され米国での噓発見器の代名詞になっていったとのこと。

著者は、ポリグラフぼ”実用化”に関わった二人の米国人の個人史を加え米国での”嘘発見器”の光ーこれはあまりないーと陰をうまい具合に描き出していると思います。
興味があって調べてみると米国では1993年に科学アカデミーからポリグラフをlie detectorとして使用されることに科学的な根拠はないという報告が出ていて、それ以前からの議論に一応の終止符が打たれているのですね。裁判で証拠として採用されることもないのだそうです。
かなり大部の報告ですが、抜粋はpdf fileになっていて無料が読むことができます。
参照:The Polygraph and Lie Detection

日本では
ポリグラフ検査結果が証拠能力を認められるには、

①検査官が検査に必要な技術と経験を有する適格者であること、②検査に使用された器械の性能および操作技術からみてその検査結果は信頼性のあるものであること、③被験者の身体及び精神状態が検査を受けるに適した状態にあったこと、という要件が必要である

ということになっていて、米国とは異なり場合に寄っては裁判の証拠にも採用することができるとなっているようです。実際にどれくらい使用されているのかは知りません。科学性が否定されているのに…

ポリグラフ自体は一般名詞であり麻酔科医は普通に麻酔中に手術室内で使っています。
いわゆるバイタルサインだけをいくら詳細に検討しても,患者の意識の有無や侵害刺激がどれだけ完全に遮断されているのかを個々の患者で正確にon siteで知ることは現在ではできないと考えられていると思います。”嘘”を検出するといったことがもっとも単純な意味ではできないことは検討の余地もないほど明らかだと思います。
最近は、最新の脳科学の成果を用いてfMRIやp300を利用した試みもありこういったことへの追求はなかなか終わりません。参照:脳波測定でテロリストを見分ける? | WIRED VISION
嘘とかはともかく組織、国家に対する忠誠心もこの種の器械で測定することができるのだと云うのはそのそも前提からして無理筋ではないでしょうか。

うそ発見器の話を聞くたびに
芥川龍之介の手巾という小説を思い出します。これは面白い小説です。芥川龍之介はこの手の小説をたくさん書いていてまとめて全部読む価値があります。
参照:手巾 青空文庫

嘘発見器よ永遠なれ

関連するエントリー:

Comments

Powered by Facebook Comments

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

madeonamac.gif Creative Commons License