今日は職場は大忙しでした。ぼくひとりで3つ麻酔しましたし全部で結局12件処理したことになります。働きすぎだと思います。
さて久しぶりに低酸素の話です。
酸素分圧がある値を下回ると細胞で低酸素応答が始まります。
細胞の種類、応答の種類により反応性は異なります。
HIF-1の活性化についても酸素分圧が5%を下回る程度からHIF-1aタンパク質の細胞内蓄積が観察されさらに1%程度となれば転写活性化能が完全に活性化され転写因子としてフルに働くようになる。酸素分圧を横軸にとり縦軸にHIF-1の”活性”をとれば、反応曲線を描くことができる。細胞のおかれた環境や細胞そのものの状態によりこの反応曲線は相似ではあるが同一でないカーブを描くことは容易に想像できます。
HIF-1の活性化の制御に関わるタンパク質は多数同定されていてこれら分子の遺伝的な多型が応答にどのような影響を与えているかまた多数ある分子のうちのどの分子のどのような多型がどのようなタイプの応答にどのように関わっているかを知ることは低酸素応答の理解や医療への応用にほとんど必須のことであります。
Scienceに
Genetic Evidence for High-Altitude Adaptation in Tibet
Science DOI: 10.1126/science.1189406
という論文が発表されました。
高地チベット人と中国人、日本人の遺伝子の差をHapMap Projectの研究成果を用いて酸素利用に関わる遺伝子群に焦点を絞ってスクリーニングして10種類程度の遺伝子を選ぶことができたという報告です。ナイスです。うまくできすぎているとも感じますけど。
残った遺伝子は
EPAS1-HIF2aのこと
CYP2EE1
EDNRA-endothelin receptor type A
ANGPTL4-angiopoietin-like4
CAMK2D-calcium/calmodulin-dependent protein kinase II delta
EGLN1-PHD2
HMOX2-HO-2
CYP17A1
PPARA-peroxisome proliferator-activated receptor alpha
PTEN
このうち
EGLN1とPPARAはヘモグロビンの低値と特に強い相関があったそうだ。
それを狙っているのだが見事にHIFの周辺遺伝子で反応性の差の理由が落ちてきています。いやはや。
背景として
An Ethiopian pattern of human adaptation to high-altitude hypoxia
PNAS 2002 99 (26) 17215-17218
PNAS 2004 101 (39) 14300-14304
Higher blood flow and circulating NO products offset high-altitude hypoxia among Tibetans
PNAS 2007 104 (45) 17593-17598
などのDr. Beallの研究室からの論文を挙げておきます。
こんなのがあってこれが今回の論文の解析のきっかけになっているのだと思います。
nitric oxideも深く関わっていると思います。



