Archive for the ‘今週の一押し’ tag
夏のツイ呑み会
研究室の全員がtwitterにアカウントを持つようになりました。
夏のツイ呑み会しますか梅雨が開けたら 今日もらったビラ中央の机に置いておきました。「欲張りプラン」で4200円。
オフ会というのかなんというのかそこではアカウント名でお互いを呼んだりしてすこし不気味な会になるなたぶん。
”タロちゃん”とか”コロスケ”とかdeepが呼んでいたりして…やっぱりかなり不気味だね。
少し前に興味深い論文があったのですがしっかり読んでいませんでした。
この分野に素人のぼくには結構難解で多分この論文の論点を十分は理解していないと思うのですが、ハイポキシア生物学として読んでも得ることろはたくさんあると思いました。
Cellからです。
Cell, Volume 141, Issue 5, 872-883, 13 May 2010
生理的な酸素濃度下で培養することによって、X染色体不活化前のマウスES細胞様のヒトES細胞を樹立したという論文です。
IVF由来8細胞期胚を融解して5% O2下で胚盤胞期まで発生させ、生理的な酸素濃度(〜5%, pO2, 36mmHg)および従来の大気中の酸素濃度(〜20%, pO2, 142mmHg)の培養条件下でヒトES細胞の樹立をそれぞれ三つと一つ樹立した。
5% O2条件下で樹立した細胞株を20%O2条件下で培養して遺伝子発現の変化を網羅的に検索したことろHIF pathwayにのっている遺伝子は軒並み発現抑制されたがさらに慢性的に20%O2環境に暴露すると多くの遺伝子の発現は 5%O2条件下のベースライン状態に戻った。20% O2曝露後でも発現変化を維持している遺伝子も198個同定された。OCT4, SOX2, NANOGなどのコア多能性遺伝子の発現には有意な変化は認められなかったのですが、神経外胚葉、栄養外胚葉、中胚葉、胚体外内胚葉、臓側内胚葉遺伝子が、20% O2曝露後に誘導された。つまり、20% O2曝露は、多能性を有意に損なうことはないが、一部の細胞の分化を促進するのだろう (This suggests that the exposure to 20% O2 does not significantly compromise pluripotency but may promote differentiation in a fraction of the cells)。
ここら辺から難しいのですが、女性細胞株におけるX染色体不活化(XCI)の状態を酸素分圧と酸化ストレスなどど絡めての解析が進みます。20%O2で培養するか5%O2条件下で培養するかでXIST遺伝子発現が異なり例えばヒトES細胞において不可逆的なXCIを起こすのには大気中O2曝露で十分である。抗酸化剤処理培養実験によって、酸化ストレスの阻害することが、大気中のO2曝露後の早発性XCIからヒトES細胞を救うことが示された。
5%O2環境が生体内で果たす重要性がES細胞にすごい重要な意味を持っていることがよくわかります。
5%O2環境はとても微妙な条件です。例えば、Chuvash型の VHL mutationなどはここらへんの酸素分圧で重要な意味合いを持つのかもしれません。またこのような過程に細胞内の代謝を絡めていくともっと面白い解析ができるかもしれません。
PLoS Geneticsに
PLoS Genet 6(6): e1000994. doi:10.1371/journal.pgen.1000994
という論文がありました。
かなり示唆的ですこし詳しく読んでみようと思います。
読売新聞でいきなり「メイスン&ディクスン」の書評が登場していました「独立前夜 アメリカ膝栗毛」。これは面白いですよ。今「上」の1/3くらいまで進んでいます。
先生とわたし が新潮文庫で出ていました。これは身につまされる本ですね。とにかく読んでみたら良いと思います。たったの500円で世の中の見方が変わるよ。
iPhoneって組み立てには$6.54しかかかっていないそうです。(参照)

New York Times から引用
ひとで不足でこんな感じで工場ではたらく人を集めているようです。すごいね。
学資ローン
週末にその数学が戦略を決める (文春文庫)読みました。
こっちに書いてみました。
エントリー医学部の学費は値上げすべきだ読みました。
最近奨学金を出して田舎に医者を縛り付けようという制度がそこここで始まっていますが、こんな感じのローンが一般的になってくれば一括返済ではいさようならということも可能ですよね。医学生でなくリアルに医者になった人に 3000万くらい貸しつけて焦げ付くことはないのだから。
しかしこの制度30年前にあったとしてうちの親は踏み切れなかっただろうな。そもそもぼくを大学にやるという発想が無かった人たちですから。
結局6年で大学に払った学費は 150万円くらいだったような。研究を始めて一年で元を取りました。
結局”走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)”も買いました。アパートに置いておく分です。
しかし気分が晴れないな。なんであんなことするのだろう、理解できません。
今週の一押し: 2010-#9″リハビリの夜”
今日から某論文の作業を並行して始めました。連休明けにはそろってdraftになっているとヨイと思います。
毎週頼んでもいないのに送ってくる「医学界新聞」というすごい名前の新聞で紹介されていたのがきっかけで読むことにしました。
著者は脳性麻痺の医者。東大の医学部を出て小児科の医者を経て現在は東大の先端科学技術研究センターで研究をされていると奥付けには書かれています。
著者の熊谷さんは、自力で歩くことはできないし特別に設計されたトイレでなければ用を足すことも自力では難しいという障害を生まれながらに持っていて幼少期からリハビリに明け暮れていた。その体験を元にした身体論なのだろうがぼくには一種の人生論としても読めた。
リハビリ体験が赤裸々に語られこの部分は第三章「リハビリの夜」と第四章「耽る」でセクシュアリティ論的に語られる。この部分を取り上げることはできると思うがぼくがびっくりしたのはその後。
そこから出発して著者が小児科医として勤務してからの体験が語られる第五章「動きの誕生」はこの本の白眉である。
極めて興味深い身体論が語られる。この部分だけでもすべての医療人とりわけ今年スタートして未だ医療現場に馴染めずプライドをずたずたにされている研修医に読んでもらいたいと思う。随分楽になるし絶対に”気付き”がある。
「身体内協応構造」のゆえ健常者でも緊張してしまい満足にV-lineを確保できない場合がある。それが「身体外協応構造」を手助けにいつの間にか難なくその作業をこなせるようになる。このプロセスが感動的に語られる。身体的な障害の有無に関わらない。
これは別に医療現場で苦戦している研修医だけでなく、医療経験を重ねた上に新しく基礎研究を始めたばかりの新米大学院生にも本気で読めば捕まえることのできる点がかならずある。
奇書という言い方は失礼かもしれないが、医学部の教科書にしても良いと思うほど影響を受ける本であることは保証する。
呑気に1Q84など読んでいる場合ではないし、ハンドブック型のマニュアル本を買うお金があればこの本を本気で読み込んだ方がいいと思う。
個人的には「敗北の官能」という言葉で著者が表現する「快楽」の一形態はとても興味深い。ぼくなど常に”負け”続けてきたので”負ける”ことにある種の快楽を見出すようになってきていると思う。
ここら辺はこれまた第六章「隙間に「自由」宿る」でうまい具合に表現されていて本当に参りました。この辺についてはまた書こうと思います。
妙な雰囲気の挿絵がまたよろしいですね。





