当直明けで今ひとつ身体が日本の時間になれていない感じもありますが昨日は6時間は寝ました。
Natureに植物の低酸素感知に関する論文が二つ出ています。
Homeostatic response to hypoxia is regulated by the N-end rule pathway in plants
Nature (2011) doi:10.1038/nature10534
Oxygen sensing in plants is mediated by an N-end rule pathway for protein destabilization
Nature (2011) doi:10.1038/nature10536
N-end ruleに従う蛋白質の分解が重要な鍵を握る所など似通ったところがあるというのが不思議です。
ちなみにこれらの論文で云うhypoxiaとはほぼanoxiaの条件です。
Steve Jobs氏の伝記が昨日発売になりました。
原書と邦訳の価格の差が酷いなどなにかと話題です。(参照)
確かにひどい商売です。
ぼくはナイーブに翻訳を注文したのですが全然発送されないので怒って注文をキャンセルしてKindle版を買いました。幸いぼくの手に負える英語ですのでこれで最後まで読もうと思います。
翻訳と云えばGroopmanの”Your Medical Mind: How to Decide What Is Right for You“の翻訳,「医者は現場でどう考えるか」)が出版されたようです。
よい本だと思います。
ついでに,最新作Your Medical Mind: How to Decide What Is Right for Youも出たようです。
ぼくはGawande氏よりGroopmanの方が知性的だと思います。
もう一冊
House and Psychology: Humanity Is Overratedは面白いです。あの”House“を心理学的に解剖した本です。テレビ番組を見たことのない人は楽しめないと思いますけど…
GLSの熱血解説に聞き入る院生達@Welch Library in JHU
二週間ほど遅れてiOS5にupgradeしました。確かに便利になっていると思います。なるべく早く”4S”にしたいと思います。
1Q84
は今現在まだぼくのKindleには流れてきていません。
来週の火曜日に大学院の入学試験があるようです。受からないことには始まりませんので時間まで答案用紙に向かってください。
小林秀雄の実質的なデビュー評論は「様々なる意匠」です。
当時の日本文学に存在した「様々な意匠」をおちょくりながら,文芸評論家としての自らの立ち位置を既存の明らかにしたものです。むちゃくちゃ力が入っていて少し難解というかその当時の文壇の事情を知らないぼくには理解が出来ない部分もありますが,何十回も読み返してそのたびに考えることがあります。
初期にはXへの手紙・私小説論 (新潮文庫)で読んできましたが現在は小林秀雄全作品〈1〉様々なる意匠で読んでいます。
文芸評論にくらべたら科学評論は難解かもしれないが単純のように思えますが,個々の論文の評価をリアルタイムにすることはそう単純ではありません。「様々なる意匠」は一回は読んでみる価値のある評論だと思います。
今調べてみると過去にもほとんど同じ事を書いていましたね。ボケがはじまっているようです。
患者さんの麻酔後診察をします。
日帰りで帰宅した患者さんは電話インタビューをします。一泊それ以上の入院をする患者さんについては病棟を廻るということになります。平日は看護師さんにお任せしますが土曜日・休日には医者が廻ることになりぼくが担当することもあります。合い部屋の患者さんに根掘り葉掘り聞くのは控えているのですが個室の患者さんとはいろんな事を30分くらい話すこともあります。
ご自分の疾患について質問を受けることもあります。主治医でも無いので適当に答えるしかありません。医療体制への批判とか患者さんのアイデアとかの他に過去に受けた手術・麻酔との比較を話してくれる患者さんもいます。
質問項目は30個くらいあるのですが,必ずお聞きするのは「思ったより楽だったのかしんどかったのか」と云うことです。ほとんどの方は思ったより楽だったとお答えになるわけです。これで満足するわけです。
皆さんが気にすることの一つは「点滴を失敗された」とか「点滴のあとがい痛い」です。重大な事なんですね。必ず一回で確保するように皆で心がけています。デイ・サージャリー診療部では24Gの留置針を使う場合も多いです。輸液するというより麻酔薬,抗生物質の投与ルートなので細くとも何の問題もないことがほとんどだからです。
最近,ぼくらの病院ではテルモ社のある留置針が導入されました。手術室は除いた病棟で採用となったのですがデイ・サージャリー診療部の手術室は病棟と同じものをつかっているので9月から導入されました。
これがなかなか優れものなのです。どうよいのかは使って見れば明らかです。ぼくら麻酔科医に取っては大きな事でも無いような気もしていたのですが使って見るとこれが便利で最近はこの留置針を使わないと調子が狂うまでになりました。
大学院に入学するときに今は亡くなった恩師に「あんた自分の研究がすぐに患者の役に立つだのとかゆめゆめ思いなさんな」と云われました。役に立つとかそういった観点で行う研究には碌なものが無いというのです。もちろん例外はあります。ピロリ菌により胃疾患への関与など研究が直接のきっかけとなり医療を変えたものもあります。iPS細胞のような例もあります。
先生の主張は,医療というものは,別に研究室の研究などによらずとも日々現場で進化していると云うことでした。組織的に行われる場合もあるでしょうし,個人的な学びなどから現場での医療は進化すると云うことです。留置針の進化というのはぼくにはその好例に思えます。学生の臨床実習でも留置針の進化を例に挙げてこの恩師の考えは披露しています。
NHKのテレビ番組に「新日本風土記」というのがあり毎回録画して観ています。少し前に「遠野」を題材とした番組が放送されました。
普通のおばさんが,廃校後で「見た」女の子のために毎日朝ご飯を用意しているんですとこともなげに話しているのです。
まさに,小林秀雄が信ずることと知ることとか感想で語っている世界が現代の日本にもあるのですね。うれしくなってしまいました。
医学と仮説――原因と結果の科学を考える (岩波科学ライブラリー)
これ多分タメになりますよ。
そこには土曜日は1時くらいまで研究室で過ごして梅田に出て丸善-ジュンク堂で本を受け取り-この本屋無い本は無いような印象があります-立ち読みして腹が減ったのでラーメンを食べ終わって時計を見たら4時を回っていました。
雑誌「文藝」で綿矢りささんの特集をしていてそれを読んでいたのです。デビュー10周年と言うことでした。
今年も新潮文庫の100冊やっていますね。
今年のラインアップではさっき数えたら8割5分は既読でした。それでも例のパンダのキーホルダーが欲しくて二冊買って見ました。
二冊とも予想以上に面白かったです。
特に「さよなら渓谷」は素晴らしい小説ですね。解説も触れられていましたが、映画ミスティック・リバー – Wikipedia
を彷彿させます。少しくどかった「悪人」よりこちらのほうが名作だとぼくは思います。
新潮文庫の100冊はかつてCD-ROM版で出ていたことがあります。米国滞在中に暇だったので読破しました。「孤高の人」もそこに収録されていたはずです。
そこには「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が入っていったのですが2011年のラインナップでは「海辺のカフカ」に替わっています。「こころ」だって5回以上は読み返したと思います。
今年の100冊を全て買っても6万円くらいだそうです。全部読んだら気づかずにいた名作に出会ってその後の人生とは言わないけど少なくとも読書人生は変わると思います。たとえあなたが30歳を超えていたとしても。
新刊書を漁るのだけでなく「名作」をsimplyに片っ端から読んで見たらどうでしょうか。
どの論文を読むべきか質問されます。
PubMedで適当に調べてその分野、分子、現象についての論文をまず積んだ高さで50cm分読んだらどうでしょうか。あえてスクリーニングをしない。それで基礎知識は得られます。
特に特定の誰かの総説を手っ取り早く読んでわかってしまうのは長い目で見たら本当は有害だと思います。総説と言うのはあれは書いている人が自分の頭の整理をするためにあるんですよ。
臨床修練でも教科書、論文をまず自分の背の高さくらいの分量を読んで見たらどうでしょうか。話はそれからですよ。
妙なハンドブックを一冊買っただけで済むはずが無いのです。
麻酔でもまず手術中患者のそばを離れず種々の進行に眼を配りながらメリハリをつけて緊張感を持続できてなんぼの世界です。何もできない癖にふらふらしていたのではどうしようも無いぜ。
学会などで誰かの講演を聞いてわかったようになるのも長い目で見ると有害だとぼくは思っています。
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