Archive for the ‘遺伝子治療’ tag
学会のpaperに対する査読
日本麻酔科学会は年に一度学術集会を開きます。会員ならだれでも演題を出すことができますが、それがすべて採択されるわけではありません。査読というステップがありその結果によっては発表を断られる場合もあります。
ぼくはこういった制度には反対なのですが、あえてこういった制度の効用を考えてみると
#1 訳のわからない演題を排除できる
#2 演題数を制限できるので密度の濃い議論が可能になる
#3 競争原理を持ち込むことで演題の質があがる
などあるのでしょうか
しかし少なくとも現行制度では#2は実現されていないような気はします。つまりそこまで演題を絞り込めていない。#3は比較の対象が無いのでよく解りません。
するとやっぱ#1ですか。抄録が日本語のまずさでぶちこわしになっているような演題もあるような気もします。ここら辺は何とかしないと…査読なしに会員は最低一つは演題を出せるような仕組みにするためには会員の質が十分に高くなっているという前提が必要なのかもしれません。
日本循環器学会など演題のタイトルはすべて英語ですがこれは英語で発表するのですかね。
JAMAに三回に分けて新しい臨床遺伝学による研究結果をどう解釈して臨床に役立てるかの基礎知識を解説するミニシリーズがありました。
How to Use an Article About Genetic Association
B: Are the Results of the Study Valid?
C: What Are the Results and Will They Help Me in Caring for My Patients?
いきなりHardy-Weinberg Equilibriumとか言われてもわかりませんよ普通は。こういったことの解説が載っています。
一番大切なのはその報告が正確なものかどうかをある程度自分で吟味して批判的に受容することのようです。何でもそうなのですが…
脳を増強する薬を使う
Natureのこの論文はちょっと衝撃的だ
Towards responsible use of cognitive-enhancing drugs by the healthy
Nature 456, 702-705 (11 December 2008) | doi:10.1038/456702a; Published online 10 December 2008
なんとか手に入れて読んだ方がいいと思う。
以前にNatureに科学者の2割くらいがリタリンを使っているとかの報告が出ていたような気がする。
ぼくがいまいちなのはもしかしたらそのせいか?な訳はない。
今週の一押し:2008-#31:”ゲノムと聖書”
“ゲノムと聖書:科学者、〈神〉について考える” (フランシス・コリンズ)
The Language of God: A Scientist Presents Evidence for Belief
J. Watsonの後を襲って米国のヒューマンゲノムプロジェクトを率いたFrancis Collins (参照)の著作の翻訳です。
科学者とくに生命科学者であることとキリスト教の信者(コリンズ氏は、only nominally Christianである両親に育てられ若いことはatheist-無神論者-であったが医学部で学ぶ過程で福音主義キリスト教徒となった)であることが両立するのかという問題が論じられます。
コリンズ氏のあまりに率直な書き方にひどく驚きましたが、ドーキンスの『神は妄想である-宗教との決別』やグールドの『神と科学は共存できるか?』よりは親密な感情を抱きながら読み進めることができました。
圧巻は第11章「真理の探求者たち」だと思います。よくここまで書いたなと感心します。原書の副題”A Scientist Presents Evidence for Belief”がこの章でいきています。<神>について考えるというよりやっぱり<信仰>について書かれているのだと思います。神を<信じる>ことと科学者であるということにどう整合性が着くかこれがこの本の主題だと思います。
解説書として読むのなら
第III部の
第7から第10章を読めばだいたい事足ります。だいたい以下の4つに分類できるということです。
- 無神論と不可知論
- 創造論
- インテリジェントデザイン
- バイオロゴス(参照)
コリンズ氏の立場は#4です。
有神論的進化論(Theistic Evolution, EV)でありかれがバイオロゴスと呼ぶ考え方です。名前はいかめしいですがそう複雑な概念ではありません。
ぼくには1と2の違いは如実だと思いますが、1と3,4の差は実はぼくにはピンときません。
翻訳も悪くないと思います。



