お知らせ

ブログを新しいドメインに移行していきます。

新しい場所は

blog.hypoxia.jp

です。

一見にどこが違うんだと言うくらい外見は似ていると思います。エントリーも移行しました。この作業に日曜日2時間も費やしました。

9月中は現行のブログも同時更新していきますし,少なくとも一年間は現行のブログの手入れはおこなおうと思っています。


日当直です。

朝から待機していますがいままで出番がありません。

結構はかどり今日中にならなくてはいけないこと,やりたいと思っていた事ができました。

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学会でのプレゼンテーション

土曜日にある学会に出席しました。全国レベルの学会ではなく参加者はある学会の関西地区の人たちです。それでも5つの部屋に分かれて朝から講演,口演発表,ポスター発表などが行われる結構大きな規模の学会です。

いくつかの講演を聴いていて学会でのプレゼンテーションについて考えました。

口演発表,ポスター発表共に演者の人は5−7分のプレゼンテーションを行いその後,質疑応答を受け付ける形式でした。口演の人はPC上のプレゼンテーションソフトを使い,ポスターの人は目の前のポスターに沿った発表となります。主に若い人たちが演者で予行演習の成果もあり皆さんすくなくともプレゼンテーションの部分はすごく巧く話していたと思います。この意味では20年前のぼくらよりはるかに立派な発表者であると思います。

何人かの人の1時間程度の講演がありました。 内容は置いておくとしてプレゼンテーションの技法をもう少し意識した講演であれば内容がもっと引き立ったと感じました。

ぼくが参考にしている発表の方法についての参考書は,諏訪邦夫先生の 「発表の技法―計画の立て方からパソコン利用法まで (ブルーバックス)」です。1995年に出版されたブルーバックスですがまったく今日的です。 この本の第二章と第三章の内容を自分なりに吟味する事をお勧めします。

この本は各章のお終い部分に発表のマーフィーの法則という付録が付いています。 例えば

  • 発表を練習する余裕のなかたっとき,発表は失敗する
  • 聴衆は教育されることを嫌う
  • 他人の論文の解説は退屈である
  • 質問で立ち往生したら,発表がよかったのである
  • 美しいスライドを使えば,くだらない研究も素晴らしくなると考える人は愚かである

などなどです。

医療者のための伝わるプレゼンテーション (JJNスペシャル)」も参考になります。これはたぶん看護師さんを想定して書かれた本ですが医者が参考にしても全く問題ありません。  STEP4 Delivery いよいよ本番  の章は一読をお勧めします。   またポインタの使い方は気をつけてもらいたいと思います。 ポインタをスクリーンで意味も無く動かされると少なくともぼくはイライラしてきてそれ以上その発表を聞きたくなくなります。日本ではよほど偉い先生方もこれをされる人が多いと感じます。止めてくださいというよりポインタなど使わなくともよいようにする工夫できるはずです。

予行演習をしっかり行えば時間管理も成功するというより失敗しません。口に出して話すことにより言いにくい言葉を他の同じ意味の自分にとって言いやすい言葉に変えたりもできます。予行演習は重要です。 講演の朝蒲団の中でスライドを頭の中で繰りながら声に出して講演を空でできれば原稿も何も無しで話すことが可能です。

また1時間をいっぱいいっぱい使うのは困ります。1時間の講演なら45分で話し終わり残りの15分は質疑応答にあててください。わざわざ会場に運んでくれた聴衆でどれだけ内容が伝わったかはどれだけ質問がでるかである程度推定できます。

発表の技法―計画の立て方からパソコン利用法まで (ブルーバックス)

医療者のための伝わるプレゼンテーション (JJNスペシャル)

 

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ある医師の麻酔科学会退会

日本麻酔科学会に所属していた医師が論文発表において不正行為を行ったと麻酔科学会が認定した件については以前にも書きました。(参照)

この医師の処分について,最近日本麻酔科学会の理事会が声明を出しました。(元会員藤井善隆氏の論文捏造に関する理事会声明)

つまりその会員は学会へ退会届を出したのでそれを受理したということです。

声明の内容に少し疑問を感じました。

この結果,藤井善隆氏は退会いたしましたが,本学会としては,本邦の麻酔科医および研究者全般の信用を多大に失墜させ,国民への安全な医療提供にも多くの悪影響を与えた同氏には,医師,研究者としての資格はないと判断し,永久に本学会への再入会を認めないことと致しました。関連諸団体,施設におかれましても,このような案件を二度と繰り返さないためにも,藤井氏の今後の活動に対してはご留意をしていただくよう,これら事実を公表して,強く要請を致す次第です.

とありますが,

  • 永久に再入会を認めないことなどできるのか?
  • 藤井氏は医師としての資格がないような人なのかどうか?

この二点です。

学会の規約を読むと

会員は,理事会の審議を経て定める退会届に理由を付して提出し,任意に退会することができる

とありますのでこれに沿って出された退会届を受理したといことは解ります。退会の主導権は会員にあるのです。

一方入会は,

理事会は入会の可否を審議し,合理的 な理由のない限り入会を承認し,これをもって入会日と定め申込者に通知する. とあり理事会の承認が必要です。理事会は永久にもし入会届が出されてもこれを認めないと言っているのですがこれは可能なのでしょうか。現執行部はいつまでも麻酔科学会の運営を続けるわけではありません。少なくともこの意思表示はその当時の麻酔科学会の総意で行うべきだとぼくは思います。

また怖いのは

関連諸団体,施設におかれましても,このような案件を二度と繰り返さないためにも,藤井氏の今後の活動に対してはご留意をしていただくよう,これら事実を公表して,強く要請を致す次第です.

の部分です。「留意」ってなんでしょうか? まるで藤井氏は医者の資格がないような人物なので医師としての活動をみんなで阻止しようと呼びかけているかのようです。

また毎日新聞の見出しが「元准教授が麻酔学会退会 除名処分、不可能に」となっていました。ここは麻酔科学会退会とすべきだと抗議すべきと思います。タダでさえ自分たちは麻酔科医(anesthesiologist)であって麻酔医(anesthetist)ではないと主張したい人が集まっている学会ですから。

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暑い!!

兵庫県豊岡市は夏は暑く冬は寒いという悪名高い街です。

日本経済新聞を読んでいたら豊岡の「夏は暑い」ということを裏付けるエビデンスが載っていました。 今年の夏8/20まで最高気温が35℃以上の猛暑日の数を数えてみると豊岡市は24日で二位の熊谷市(20日)を押さえて堂々日本一だと言うことです。ちなみに京都市も結構なもので18日。多治見市と三位を分けあるという名誉を得たそうです。 ググってみるとさらに詳細なデータがありました。順位にはすこし変動があったようです。(参照)

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「マップビュー」と「ストリートビュー」

あるブログのエントリーを読んでなるほどなと思うことがあり書き留めておこうと思いました。

いつも心に101 – 絶対的地理把握と相対的地理把握

いつも心に101:地理認識がマップビューとストリートビューな人たち

の二つです。

まずお読み下さい。

この話,医療の世界にも充分あてはまる話だと思います。

臨床家は自分の専門分野での日々の臨床では「マップビュー」的に行動をしていると思います。それまでの臨床経験により「マップ」が頭の中に獲得できていてその「マップ」を基に医療行為を行います。想定外の事態もまず「マップ」からの「差」としてとらえて「マップ」に取り込んで解決しようとします。「マップ」はなので先入観の基盤ともなります。「マップ」は絶対的なものではなく個人差は当然あります。

その「マップ」が頭の中に獲得し切れていない研修医君達は仕方ないので「ストリートビュー」的に事に当たっていくしかありません。まれに「ストリートビュー」的に進んで何の問題も起きない運のいい人または一種の「天才」はいるかもしれませんが普通の人は「ストリートビュー」に頼っていてはしばしば迷い子になります。なので研修医君達はしばしば迷い子になります。

それを端で見ている上級医には「マップ」があるので研修医君達のやっていることが鳥瞰できれば「マップ」への「定位 (allocation)」もできるし「差」の検出も可能です。しかし何を研修医君達が見ているか上級医に解らない場合には二人で迷うことになります。

教科書は大体は「マップビュー」的なものですが研修医君たち向けのマニュアル本には「ストリートビュー」的に記述されたものも多数あります。侮ることはできません,すごく実践的だったりしますから。

上級医にしても「マップ」がまったく通用しない状況に遭遇すれば結局は「ストリートビュー」に沿って歩いて行くしか無くなります。自分が遭遇している状況が少なくとも自分の頭に用意されている「マップ」上には「定位」できないと早い目に気付けばそれでよいのでしょうがいろいろな「マップ」を引き出してきては「これは違うよね」というような試行錯誤を行っていては手術麻酔の様な状況下では時間が一方向に流れていくだけでかなり厳しくなる場合があります。

というような事を考えました。

今度,時間があったら基礎研究における「マップビュー」と「ストリートビュー」の話題で書いてみます。

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「生命主義」

伊藤計劃氏の「ハーモニー 」を少し前に読みました。

「生命主義」が支配する近未来を描いたSFです。 ちなみに「生命主義」とは

生命至上主義(英:Lifism)。構成員の健康の保全を統治機構にとって最大の責務と見なす政治的主張,もしくはその傾向。二十世紀に登場した福祉社会を原型とする。より具体的な局面においては,成人に対する充分にネットワークされた恒常的健康管理システムへの組み込み,安価な薬剤および医療処置の「大量医療消費」システム,将来予想される生活習慣病を未然に防ぐ栄養摂取及び生活パターンに関する助言の提供,その三点を基本セットとするライフスタイルを,人間の尊厳にとって最低限の条件とみなす考え方。

の事です。まるで現代医療が目指している理想ですよね。 「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利を保障する為のインフラです。

このような世界では例えば「肌荒れ」は「 セルフコントロール」の喪失であり,「目の下」のくまは「社会的リソース意識の欠如」と見なされるのです。

また「デブ」などという言葉は死語になり,実際に「太っている」または「痩せている」人もいません。ガン細胞は体内で発生すると「WatchMe」システムの「medicule」によって発症前に排除されてしまいます。

英訳()もありKindleで読むことができます。 買ってしまいました。

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残暑は厳しいですが朝夕は涼しく特に朝は寒いくらいです。

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一応夏休みです。

子供と家内がダンス大会に出かけて一人で特にすることがないので映画や撮りためたTV番組を観たりしていますがすることがなくなり論文の作業も並行して行っています。 休み明けには共著者に原稿を送って8月には投稿したいです。

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NHKの戦争特集を観て考えた事

毎年この時期になると第二次世界大戦関連のドキュメントが各放送局で放送されます。 特にNHKは一年中戦争ドキュメントを放送していて録画して結局は観てしまいます。(戦争証言アーカイブス)

NHKでこの年の夏に放送されたもので観たものとしては,

などがありました。

「大和」の番組は3時間の長尺で番組中にミニドラマを含むものでした。 衝撃的で考えさせられたのは 戦場の軍法会議 ~処刑された日本兵~ でした。

概要を番組のページから引用します。

67年前の太平洋戦争末期、フィリピンやニューギニアなどの南方戦線で補給が断たれた日本軍に“異常事態”が起きていた。飢えに苦しみ、食糧を求めてジャングルをさまよった日本兵たちが、部隊を勝手に離れたとして「逃亡罪」で次々に拘束され、処刑されたのだ。しかし、当時の記録は、ほとんどが軍によって焼却されたため、その詳細は今まで明らかになってこなかった。 今回NHKでは、その内実に迫る貴重な資料を入手した。戦場で開かれた特設の「軍法会議」で兵士たちを実際に裁いた軍の元法務官が、密かに残した内部文書と14時間に及ぶインタビュー・テープである。兵士たちは、なぜ処刑されたのか。そこで語られていた元法務官の証言は、衝撃的だ。 軍紀を守るために厳罰を科し“見せしめ”を求めた軍上層部の意向で、本来なら死刑にならない罪でも兵士を処刑した、というのである。「法の番人」であるはずだった法務官たちは、なぜ、軍の上層部に抵抗し続けることができなかったのか。戦場で行われた軍法会議の実態を、ひとりの法務官の軌跡を追うことで明らかにし、戦争の罪を見つめる。

という番組です。

軍や政府は戦後,軍法会議の資料をほぼ全部焼灼処分として一種の証拠隠滅を図ったということですがある法務中佐が個人的に残した資料が発掘されその資料に基づきまた生存者の証言で当時の状況が再現されたというわけです。

罪名は「戦時逃亡」,「奔敵(自ら進んで敵軍に向け逃げ去り捕虜になること)」や「死体損壊(これは衝撃ですよね)」などが適応され,結論ありきの軍法会議であっても裁かれたのはよい方で,中には問答無用の銃殺というケースも多かったという事です。

悲惨なのは,残された遺族や親戚も一緒です。多くの場合地域に住むことができなくなり流れて行かざるを得ない,また遺族年金の支払いを拒否されるなどの事態に陥ったのだそうです。

しかしこのような体制は何も「戦時下」だけでなく現在でも続いています。

例えば手術室。

これは一種の「戦場」「鉄火場」であり,ある状況下では目の前の「患者」の心臓を動かし続けるということが目的となりその目的の為にあらゆるリソースを投入していくということになります。 その患者の心臓が動き続けるということがどのような意味を持つのかを考える事は目的の為の行動の遂行にはたぶん「有害」なこともあります。

ぼくはと言えば,これに「兵士」として戦闘に参加する場合もあるし,司令官として参加する場合もあります。

自分で怖いなと思うのはそのような状況ではそのように行動するのが自然なのでありそれを阻むものは無視して突撃して行くしか無いと考えてしまうことです。 さらに状況が似ているのはどのような状況であったかが問われることなしに「敗戦」に対して突如責任を問われることがある事です。警察が介入したりそうでなくとも自らは絶対安全圏にいる安全管理室による「軍法会議」が開かれたりします。ちょっと怖いですね。

このような状況を打開する-というか避ける-方法で一番簡単なのは「立ち去る」事だと思います。君子危うきに近寄らずが一番単純でかつ確実な方法です。 職場にとどまり状況を変える事はそう容易ではない選択です。しかしだからといって何か抵抗をしてみたいとは考えています。 つまり結局は本当の「戦争」では無いからだと思います。

理想を追求するなら病院のオーナーか最低でも院長にならないと駄目ですね。教授や部長でお茶を濁していいたらいつまでも理想は達成できないと思います。

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読んだ本

夏休み用に本を買い込みました。

結果2012年に入社した社員のTOEICの平均点は800点を越えるようになっていたのだそうです。これってどれくらいできるということなのでしょうか。ぼくは受験したことがないので比較ができません。

文芸雑誌「新潮」に「the story of a day」という特集の一作として掲載された小説だそうです。戦争と言ってもだいぶ趣が異なります。

確かに中島みゆきの世界を小説にしたような感じですね。

その日東京駅五時二十五分発」を読んだら以前読んだ「八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学」を思い出し探したら家で見つかったので読み直してみました。

終戦でも敗戦でもよいのですが戦争が終わると清清するのでしょうね。

映画「凱旋門」の台詞に確か「戦争が終わったらフーケで会おう」というものがあったと思います。 「靖国で会おう」というのでは悲しすぎます。

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