久しぶりのまとまった雨です。

カメラロール-1997

今日は,御大のtweetをネタに書いてみます。

やはりデータへの自信は本人が相手にしゃべるときに自然にでるものです。

これってぼくが院生にいつも言っていることと似ています。
ぼくは院生が実験するそばに始終いてすべてをつぶさに監視しているわけではありません。
基本的には週に一回のデータ検討会で彼らにデータを供覧してもらい議論をするだけです。
眼の前のデータはほとんどの場合いわゆる生データですがその時点ではグラフになっている場合もありその場合生データをぼくが見ていない場合もあります。

Westernが汚いかキレイかはすぐに解りますが今眼の前にあるデータがどれくらいの確度のデータかは実は実験をした本人以外には解りません。確度というのはわかりにくいかもしれませんが,要するにどれだけ本人が自信を持っているかと言うことです。常識に反していようが本人が自信を持っているデータであればこれは考慮する必要がありますしそこから発見が生まれます。自信を持っているデータのわずかな差異は後々重要な差となり論文のつながります。ここでぼくと対峙できればもうぼくなど必要でありません。自分で実験を進めていけばよいのです。

自信があれば本当のか、自信がなければ間違いか、そういうことは必ずしも言えませんが、データの説明はできるだけ目の前で見背ながら示すものです-そのまま引用しました-

とも言えます。

石坂公成先生(以前ぼくが在籍した研究ユニットの顧問をしていただいていた関係で何度か直接お話しさせていただいた事があります)が以前免疫学会のニュースレターに書かれた文章があります。何編かシリーズでお書きになっていた時期がありましたがその中で感銘を受けたのは「プロの研究者の育成を真剣に考えよ」の回です。
部分を引用します。

われわれのコースでは,学生がすべての講義と試験を終えて自分の指導教官について実験を始めた後,生化学者や分子生物学者を含む数人の教授による口頭試問を行っていた.この試験の目的は,その学生がPhDをとってプロの研究者になり得るかどうかを判定するためである.講義の内容は覚えており,器用に実験をしていても,自分が何をしているかわからないで実験しているような学生はマスターで放り出してしまう.研究者たるものは,何故キットが働くか知らないでそれを使うべきではないし,自分が追求している蛋白を SDS-PAGE で検出するためには,どの程度の蛋白量が必要かを知ったうえで実験を組まなければならない.われわれは,そのようなことが,independentの研究者になるためには大切なことだと信じていたので,一人ひとりの学生をしごいて,それについてこれない人には辞めてもらったのである

特に,

研究者たるものは,何故キットが働くか知らないでそれを使うべきではないし,自分が追求している蛋白を SDS-PAGE で検出するためには,どの程度の蛋白量が必要かを知ったうえで実験を組まなければならない

漫然と100µgの蛋白質を載せればそれでよいというわけではないのですね。
個々の実験にはたとえ予備実験であってもその実験の課題がありそれが満たされない実験は実験として成り立ちません。このような事が考えられるようになることがまず第一歩なのです。
実験など基本的には右のものを左に移しているだけなのですからよほど不器用な人でなければいくらでもキレイな結果を出せるはずです。
このような事が自分で考えることが大学院の期間中にできるようになれば,その学生が将来的には基礎研究者として立たなくとも大学院教育の課題のうちの幾分かは達成されたという風に考えています。こういったことのできる学生を育てることが大学院の教員の務めです。それができなない教員は教員の名に値しません。

若い研究者がそのような行き方が出来るか否かは、理論(常識)からのdiscrepancyを見逃さない修練を積んでいるかどうか?そして、自分のデータが間違いか真実かを実験的に見極めるためにはどうしたらよいかを考える習慣がついているか否かにかかっていると思う。

この部分も重要です。
自分のデータがそこにあるとしてそれをどう検証するかを常に念頭に置いて実験を組み立てること。つまり目の前のデータから導き出される結論を列挙してその結論が”真”であるとするした場合にある実験を行った場合に論理的に整合性のある結論が得られる場合眼の前のデータは真実を語っていると判断していくというような思考のやり方を身につけるということです。
結局論文の構成というのは実はこういったことです。どんな論文でもまず”Figure1″がありその他のデータはすべてそれを補強する材料として存在します。論文の論点は常に一つです。

今日はここまでです。

カメラロール-1998

理系のためのクラウド知的生産術 (ブルーバックス)
注文しています。結構期待しています。
明日か明後日に着くと思うのですが…

理系のためのクラウド知的生産術 (ブルーバックス)

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昨日,日当直でした。電話が何度か掛かってきた以外に仕事といえるような仕事はしませんでした。
明日から通常通りに戻るので池田に帰るのも面倒なので研究室にいました。
たぶん論文は30篇くらい読みました。5割は某論文sの執筆の準備です。
基礎研究の論文は別として,症例報告二つと臨床研究二つは3月までにカタをつけたいです。

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思いついて「家政婦のミタ」の動画を探して観ました。ついに最終回もクリアです。ネットってすごいですね。第一回から最終回までありました。
Simplyに家族を大事にしないといけないと思わされました。テレビ番組なのですからあれで十分満足です。
“うらら”役の相武紗季が妙にフけているなと思ったらもう26歳なんですね。今後どんな展開をしていくのでしょうか。そっちが心配になりました。

業務命令以外は話しかけないで下さい。/どうしてもと言うのならお暇を頂きます。

これらのフレーズはどんどんと使っていこうと思いました。

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New York Timesを読んでいたらEric Lander氏が取り上げられていました (Profiles In Science | Eric Lander Power in Numbers)。

Collins氏とVenter氏の間に隠れていますがHuman Genome Project (当時のクリントン大統領から”We are here to celebrate the completion of the first survey of the entire human genome. Without a doubt, this is the most important, most wondrous map ever produced by humankind”と評されたprojectです)の立役者の一人だと思います(参照)。

そのLander氏の生い立ちから説き起こしたなかなか興味深い評伝だと思います。Landerって生まれながらの天才というか秀才だったのですね。

Even before the Human Genome Project ended, Dr. Lander was thinking of how to keep what he saw as a wonderful collaboration among scientists going. There were, by his count, about 65 collaborations among young scientists in Cambridge and Boston, all outside the usual channels.
“Something magical had happened,” Dr. Lander said. “People were coming together and taking on really bold problems.”
It may have had something to do with Dr. Lander’s personality. Gus Cervini, an administrator at Brigham and Women’s Hospital in Boston who worked for him for four years, used to call him “the sun.”
“He has this amazing influence or power on people,” Mr. Cervini said. “He had this ability to get people to really think big.
“When the sun shines on you, you feel like you can do anything.”

というように手放しでほめまくられています。”太陽”ってすごい表現ですよね。

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この休みに
この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」を読みました。読むとわかりますが普通の小説とはだいぶ趣が異なります。「救い」がない小説でもあります。何で読んじゃったのかと思いますが読み始めたら一気に4時間くらいで読み切ってしまいました。

この小説で引用されていた累犯障害者も読みました。これはまたまた救いのない話です。
不可能性の時代 (岩波新書)も再読したのですが年末年始は結構暗い気持ちになりました。

家で黙っていたら家内になんで何もしゃべらないのかと云われました。いつもしゃべらないのですが文句は云うのです。それも云わないので気味悪がられたのです。

R0012114

“Science”の”Areas to Watch”というエッセイで2012年への展望が紹介されています。

  • The Higgs boson
  • Faster-than-light neutrinos
  • Stem-cell metabolism
  • Treating intellectual disability
  • Curiosity to Mars

の5項目です。
Stem-cell metabolismでは

The way stem cells use energy and intermediate metabolites seems to help determine when they differentiate and what kinds of cells they become. In 2012, look for researchers to use large-scale studies of stem cell metabolism to gain new insights into how stem cells regulate themselves in the body—and how scientists might tweak the process in the lab or in patients.

昨年から「がん」でも「幹細胞」でもなんでもかんでも代謝ですね。

年末ですが判で押したような生活を送っています。
今年も某ブログに触発されてやってみます。(参照:2010年のベスト〜本(ノンフィクション)〜)

二系統に分けてみます。

まず非科学系。

ドストエフスキー
Thinking, Fast and Slow
ときて

Bestは
一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル
としておきます。

カメラロール-1176

次に科学系
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生
原書は随分前に出版されてぼくは英語で読みましたが邦訳が今年出ました。
The Immortal Life of Henrietta Lacks参照

遺伝子医療革命―ゲノム科学がわたしたちを変える(参照
年始に出た本ですがすばらしい本だと思います。

Bestは
The Emperor of All Maladies: A Biography of Cancer(参照)
としておきます。
人類と「ガン」と関係の歴史というか年代記(クロニクル)です。副題をそのまま訳せば「ガンの伝記」ということになります。ガンの基礎研究というより社会への受容や治療法の変遷についての記述に力点が置かれています。特定の患者が登場する情緒に訴えるタイプのガンと人類との闘いを描いたものではありません。

医学部の学生教育として,上記三冊を英語でじっくり一年くらいかけて購読するゼミなどを開けばすごく有用だと思います。
必要な生物学的な知識などもその過程で身につけていくようなコースを開くのです。
このようなやり方で学んでも従来の試験を受けてもらっても十分に合格する基礎的な知識とか臨床に応用可能な知恵が身につくと思います。教科書の内容をそのまま暗記するだけのカリキュラムはうちの大学の学生にはふさわしくないと思います。

ちなみに,最新号のNEJMで著者のインタビューが聴けます。

今年はこれ以外に
ひらがな日本美術史
読破しました。

カメラロール-1175

年末までに
2011年のベスト〜本(フィクション)〜 (参考:2010年版
ハイポキシア生物学の2011年を振り返って (参考:2010年版
をやろうと思います。

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