年末ですが判で押したような生活を送っています。
今年も某ブログに触発されてやってみます。(参照:2010年のベスト〜本(ノンフィクション)〜)

二系統に分けてみます。

まず非科学系。

ドストエフスキー
Thinking, Fast and Slow
ときて

Bestは
一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル
としておきます。

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次に科学系
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生
原書は随分前に出版されてぼくは英語で読みましたが邦訳が今年出ました。
The Immortal Life of Henrietta Lacks参照

遺伝子医療革命―ゲノム科学がわたしたちを変える(参照
年始に出た本ですがすばらしい本だと思います。

Bestは
The Emperor of All Maladies: A Biography of Cancer(参照)
としておきます。
人類と「ガン」と関係の歴史というか年代記(クロニクル)です。副題をそのまま訳せば「ガンの伝記」ということになります。ガンの基礎研究というより社会への受容や治療法の変遷についての記述に力点が置かれています。特定の患者が登場する情緒に訴えるタイプのガンと人類との闘いを描いたものではありません。

医学部の学生教育として,上記三冊を英語でじっくり一年くらいかけて購読するゼミなどを開けばすごく有用だと思います。
必要な生物学的な知識などもその過程で身につけていくようなコースを開くのです。
このようなやり方で学んでも従来の試験を受けてもらっても十分に合格する基礎的な知識とか臨床に応用可能な知恵が身につくと思います。教科書の内容をそのまま暗記するだけのカリキュラムはうちの大学の学生にはふさわしくないと思います。

ちなみに,最新号のNEJMで著者のインタビューが聴けます。

今年はこれ以外に
ひらがな日本美術史
読破しました。

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年末までに
2011年のベスト〜本(フィクション)〜 (参考:2010年版
ハイポキシア生物学の2011年を振り返って (参考:2010年版
をやろうと思います。

土曜日術後インタビューを終えて久しぶりに映画を観るために「新梅田シティー」を訪ねました。(そういえばtaroと待ち合わせたのもここでした)
阪急梅田駅の茶屋町側の改札を出てヨドバシカメラの横を歩くのですがほんの二ヶ月ぶりのはずなのに景色が全く変わっていました。建築ラッシュです。
「新梅田シティー」につくとドイツ祭りをやっていました。映画のチケットをとってなお時間があったのでぶらぶらしました。
店がたくさんででいてグリューワイン,ビール,ソーセージなど売っていました。

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映画館は「るろうに剣心」が大入り。アニメが好きそうとは思えない普通の女子で満員でした。ーちなみにぼくと家内は別の映画を観ましたー。
映画の最中に下痢になり10分ほど退場。何だったんだろう。グリューワインの呪いかもしれません。

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上の階の映画館では「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」をやっていたようです。
その影響でもないのですが,帰りに立ち読みしたのが

普通のダンナがなぜ見つからない?」です。

オーネットという結婚相談所の重役さんが書いた本です。その意味では,
婚活したらすごかった」とはだいぶ趣が異なります。

「普通のダンナ」ってなかなかいないのだそうです。存在率0/8%。
〈会話普通50%×身長普通50%×清潔感普通50%×ファッションセンス普通50%×学歴普通50%×年収50%≒0.8%〉
オーネットってすごいですね。入会に10万9800円かかりますし、月々1万4280円も掛かるのだそうです。

ぼくも今年でもう22年以上結婚が続いています。家内は「ぼくを拾ってやった」と今でも言い続けています。

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これまた土曜日の朝に,仕事をしていて淀井淳司先生が現在の所属をどうされているか調べるためにpubmed検索していたら日本血液学会の英文雑誌に

The discovery of ATL: an odyssey in restrospect.

Int J Hematol. 2011 Nov;94(5):423-8.

というエッセイが出ていることを発見しました。
早速読みました。
淀井さんが高月先生らと後にATLと呼ばれることになるT-cell lymphocytic leukemiaの二症例をNew England J Medに発表したのが1974年です。
吉田光昭先生らがウイルスを単離したのが1982年でIL-2 receptorのalpha chain (Tac抗原)のcDNAが単離されたのが1984年です。
内山卓先生はすでにお亡くなりになっていますが,高月清先生をはじめとしてこのエッセイの多くの登場人物に実際に会って話をしたことがあります。淀井さんからよく聞かされた話ばかりで知らないことは何も書いていないのですが文章となって並ぶと感慨深いものがあります。
初めて読む人には登場人物が多くてすこしと思います。なんでこの人とこの人が関係あるのとかも思うかもしれません。でも関係があるのですね。

淀井さんは結局このATL研究からADF(ATL-derived factor)を経てThioredoxinと来てTXNIPにたどり着かれました。留学中にやっていたCD23とかGIF研究も結局TRX研究に収斂していくのですからすごいとしかいいようがありません。
この物語の最後の15年くらいついてはぼくも生き証人です。
ぼくが淀井研に参加した時の話題の一つにNF-kBのレドックス制御という問題がありました。結局この問題の延長線上にぼくの学位論文も存在して院を終わってからしばらくはこのラインの仕事をしていました。ぼくは,ここから派生して低酸素の研究に移行しました。この間の事は
「麻酔」という雑誌の特集号「周術期医学としてのハイポキシア生物学の探究」としてまとめてみました。

淀井さんのエッセイの最後は

I hope this essay will give encouragement to young generations to not simply follow contemporary paradigms or dogmas, but challenge them with one’s own wild ideas.

こう締めくくられています。淀井さんがいつも話していたことです。ATLの臨床からTXNIPまでつながる研究は確かにまったくもって淀井さんのオリジナルな研究のラインだと思います。その意味で天才です。(今日はすこしほめすぎました)

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最後に久々に今日のtweetです。

ぼくは実験を始めて数年は全然データが出ませんでしたが,そのうちにすごく実験がうまくなりました。ネガティブデータはでるが実験を失敗するということが無くなったのです。たまに失敗すると誰かが邪魔しているんじゃないかとか思ったりしました。実験なんて右のモノを左に移しているだけですから極めたらほんと極まるわけです。何事も精進です。
< 追記>
すごい先生方はここに「祈る」というステップが加わります。
「—夢みて行い,考えて祈る—」です。

米国の新聞の日曜版というのは日本では信じられないくらいの分量です。New York Timesもその例外ではなくMagazineという長編の記事を集めた冊子が付いて来ます。これはon lineでも読むことができます。
この前の日曜日のmagazineに

“A Drug That Wakes the Near Dead”

というタイトルの記事が掲載されていました。
minimally conscious stateの患者を覚醒させる様々な試みのうち特にZolpidem (商品名Ambien)を用いた方法の詳細な紹介です。一読の価値がある以上に興味深い記事です。

麻酔の専門医資格をお持ちの先生方は当然知っている結構有名な現象だと思いますがこのようなドキュメンタリーになるとまた印象が異なります。

新聞の記事じゃイヤだという人は

General Anesthesia, Sleep, and Coma

N Engl J Med

Increased Arousal in a Patient with Anoxic Brain Injury After Administration of Zolpidem

American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation

Electrophysiological and behavioral effects of zolpidem in rat globus pallidus.

Exp Neurol

Completion of upper endoscopic procedures despite paradoxical reaction to midazolam: a role for flumazenil?

Am J Gastroenterol

Neurology: an awakening.

Nature

をどうぞ。

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以前「Mendeleyのめざすもの」というエントリーを投稿しました。

紹介したWiredの記事が日本語で読めるようになったようです。

http://farm8.staticflickr.com/7008/6451297203_e00c3229fc_m.jpg

雑誌「週間ポスト」に連載されていた徳州会の徳田虎雄さんのルポが一冊の本にまとまって出版されていました。
トラオ 徳田虎雄 不随の病院王」です。
カバーに使われている写真をみてぎょっとします。本を読んでもっと驚きます。
現在徳州会系の病院で働いている友人がいます。何度も直接徳田虎雄さんに会ったことがあるそうです。話を聞いているとやはり「トラオ」には人を引きつける何かがあるのだろうと思いました。この本を読んで一端が解ったような気がします。
病室のテレビモニターから系列病院の会議や朝会の様子をチェックできるようになっているのだそうです。ただ者ではありません。

これは読むべきでしょう。
承諾書がどうのこうのといって一向にものごとが進まない某病院にいるのがばからしくなってきますよ。
< 追記>
トラオへのインタビュー(といっても変則的な文字盤をつかったもの)も満載です。

トラオ 徳田虎雄 不随の病院王

折しも「ムネオ」が娑婆に出て来たそうです。
もう怖いモノ無しでしょうからどんどんやってもらいたいと思います。

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