懸案の論文やっと出せそうです。毎日、日のあるあいだは麻酔なので、まとまった時間を得ることが極めて難しいのでどんどん遅れました。すみません。
エルデシュ数というのがあります。
wikiに依れば
エルデシュ数(エルデシュすう、Erdős number)またはエルデシュ番号とは、数学者同士、あるいはもっと広く科学者同士の、共著論文に よる結び付きにおいて、ハンガリー出身の数学者ポール・エルデシュとどれだけ近いかを表す概念である。
ある者が新たにエルデシュ数を得るためには、すでにエルデシュ数が与えられている者と共著で論文を書かなければならない。エルデシュ自身はエルデシュ数 0 を持つただひとりの人物とされ、エルデシュ数が n の者と共著で論文を書いた者にはエルデシュ数 n + 1 が与えられる。
エルデシュは83年の生涯に約1500本の数学論文を書き、その多くは共著であった。彼と直接の共著論文がある数学者は511名に及び[1]、彼らにはエルデシュ数 1 が与えられる。エルデシュ数 1 の者と共著論文があり、エルデシュとは直接の共著論文がない者にはエルデシュ数 2 が与えられる。エルデシュ数が 2 である者は、2007年2月28日の時点で8162名いる[2]。以下同様に、エルデシュ数 n の者と共著論文があり、エルデシュ数 n 未満の者とは共著論文がない者には、エルデシュ数 n + 1 が与えられる。エルデシュ数をすでに持っている者との間に共著論文がない者には、エルデシュ数が与えられない(もしくはエルデシュ数が ∞ であると定義する)。
ということになります。
当然、本庶佑数とか成宮周数とかを同様に定義することが可能です。
同じ研究領域に属していても∞ という場合もあるが、結構近いつながりである場合の方が多いです。
今回のKeystone symposiumの参加者でもぼくのSemenza数は1なのだが、Maxwell数も1だしだとすればRatcliffe数は2である。Poelinger数も2である。計算はしていないがKaerin数も5か6くらいには収まるのではないだろうか。
それがどうしたといわれると困るのだがスゴイではないか。
これをスモールワールド現象と呼ぶのだそうです。
平均6人の知り合いを介して任意の二人がつながっているのです。
ちなみにぼくの本庶佑数、成宮周数は2であるし沼正作数も2だ。
とりあえず今回で Keystoneネタは終了としようと思います。
今回の meetingでほとんど取り上げられれいなかったものの一つにimagingがあります。低酸素領域のimaging, HIF活性化領域の imaging共に皆無といいって良かったと思います。また固形癌を低酸素と安易に結びつけるようあん話しもなくその意味ではバランスが良く取れていたという事になります。酸素の有る無しを純粋にimagingできる技術の開発が急務だと思います。そうでないと観察結果は曖昧な解釈にとどまることになります。
他方、様々なphysico-chemicalな刺激、環境変化が低酸素応答、HIF活性化に及ぼす影響の検討も欠落していました。これは残念です。少なくとも放射線照射後のHIFの活性変化の話しが一つでもあれば良かったとのにと思います。
これは”雑感-2”でも書いたことと関連があります。
今後もう少しバランスの良いmeetingになっていくのかあくまでもHIFを中心課題としたものにとどまるのか主催者の考え次第ですね。
トンネルの入口
今年はFIH-1に関する研究成果がどんどん出てくるでしょう。 dioxygenaseでないFIH-1も来ます、必ず。
また低酸素応答としてepigeneticsの観点からの解析が進むと思います。
各論的には stem cellと低酸素応答もしかしたら”低酸素”でなくHIFという領域もしばらくは論文が出版され続けるでしょう。
ぼく自身のトピックスは HIF-1/HIF-2問題です。いままで目を背けけ手きましたが残りの研究人生ですこし考えてみたいと強く思いました。やっぱり腎癌とマクロファージかもこれを考える土俵は。
トンネルの中
Keystone symposia次回はバンクーバーに戻って欲しいです。近いし標高低いから…
Keystone symposia, Hypoxia: Molecular Mechanisms of Oxygen Sensing and Response Pathwaysの個人報告を終わります。
昨日は当直でした。
11時には研究室に戻ることができましたがあまりの疲労で最低限の事をして一時には寝てしまいました。しないといけないことは結構あるのですがなかなか進みません。毎日手術室ですので体力も気力も消費してしまいます。
前回のKeystone hypoxiaでも取り上げられて現在でもかなり追求されていて未解決なもののひとつにHIF-1/HIF-2問題があります。
低酸素や増殖シグナルによって惹起されるシグナルが HIF-1とHIF-2をdifferentialに制御するその分子機序やその後のイベントの細胞生物学的な意味などはまだまだ解明されたとは言えません。ましてやHIF-3の生物学は大きく遅れています。
まず細胞、組織が異なればHIF-1/HIF-2の意味が異なるだろうと考えられます。1990年代にはHIF-1aとHIF-2a(EPASという名前で呼ばれていていまでも好んでこの呼名を採用する人はいます)ではmRNAの組織発現パターンがことなりHIF-1aは比較的にユビキタスな発現パターンに比較して、HIF-2aは血管系を中心と比較的な限定的な発現パターンを示すと報告されてきていたのですが現在ではこのような発現の差異をことさら強調することは無くなっているような気がします。
今後ここら編のbrakethroughは腎癌研究からくるのではないかと思っています。
また低酸素応答はHIFを介したモノばかりではありません。肺血管の低酸素誘導性収縮は一時的にはHIFとは無関係ですがこの現象における”酸素分圧センシング”の機序は未だに解決されたとはいえません。ここらへんは今回のmeetingでは完全にスルーでした。
”雑感”はあと一回くらいで終わり通常モードに戻ろうと思います。
今日もこれから手術室です。では。