暑い!!
兵庫県豊岡市は夏は暑く冬は寒いという悪名高い街です。
日本経済新聞を読んでいたら豊岡の「夏は暑い」ということを裏付けるエビデンスが載っていました。 今年の夏8/20まで最高気温が35℃以上の猛暑日の数を数えてみると豊岡市は24日で二位の熊谷市(20日)を押さえて堂々日本一だと言うことです。ちなみに京都市も結構なもので18日。多治見市と三位を分けあるという名誉を得たそうです。 ググってみるとさらに詳細なデータがありました。順位にはすこし変動があったようです。(参照)
「マップビュー」と「ストリートビュー」
あるブログのエントリーを読んでなるほどなと思うことがあり書き留めておこうと思いました。
いつも心に101:地理認識がマップビューとストリートビューな人たち
の二つです。
まずお読み下さい。
この話,医療の世界にも充分あてはまる話だと思います。
臨床家は自分の専門分野での日々の臨床では「マップビュー」的に行動をしていると思います。それまでの臨床経験により「マップ」が頭の中に獲得できていてその「マップ」を基に医療行為を行います。想定外の事態もまず「マップ」からの「差」としてとらえて「マップ」に取り込んで解決しようとします。「マップ」はなので先入観の基盤ともなります。「マップ」は絶対的なものではなく個人差は当然あります。
その「マップ」が頭の中に獲得し切れていない研修医君達は仕方ないので「ストリートビュー」的に事に当たっていくしかありません。まれに「ストリートビュー」的に進んで何の問題も起きない運のいい人または一種の「天才」はいるかもしれませんが普通の人は「ストリートビュー」に頼っていてはしばしば迷い子になります。なので研修医君達はしばしば迷い子になります。
それを端で見ている上級医には「マップ」があるので研修医君達のやっていることが鳥瞰できれば「マップ」への「定位 (allocation)」もできるし「差」の検出も可能です。しかし何を研修医君達が見ているか上級医に解らない場合には二人で迷うことになります。
教科書は大体は「マップビュー」的なものですが研修医君たち向けのマニュアル本には「ストリートビュー」的に記述されたものも多数あります。侮ることはできません,すごく実践的だったりしますから。
上級医にしても「マップ」がまったく通用しない状況に遭遇すれば結局は「ストリートビュー」に沿って歩いて行くしか無くなります。自分が遭遇している状況が少なくとも自分の頭に用意されている「マップ」上には「定位」できないと早い目に気付けばそれでよいのでしょうがいろいろな「マップ」を引き出してきては「これは違うよね」というような試行錯誤を行っていては手術麻酔の様な状況下では時間が一方向に流れていくだけでかなり厳しくなる場合があります。
というような事を考えました。
今度,時間があったら基礎研究における「マップビュー」と「ストリートビュー」の話題で書いてみます。
「生命主義」
「生命主義」が支配する近未来を描いたSFです。 ちなみに「生命主義」とは
生命至上主義(英:Lifism)。構成員の健康の保全を統治機構にとって最大の責務と見なす政治的主張,もしくはその傾向。二十世紀に登場した福祉社会を原型とする。より具体的な局面においては,成人に対する充分にネットワークされた恒常的健康管理システムへの組み込み,安価な薬剤および医療処置の「大量医療消費」システム,将来予想される生活習慣病を未然に防ぐ栄養摂取及び生活パターンに関する助言の提供,その三点を基本セットとするライフスタイルを,人間の尊厳にとって最低限の条件とみなす考え方。
の事です。まるで現代医療が目指している理想ですよね。 「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利を保障する為のインフラです。
このような世界では例えば「肌荒れ」は「 セルフコントロール」の喪失であり,「目の下」のくまは「社会的リソース意識の欠如」と見なされるのです。
また「デブ」などという言葉は死語になり,実際に「太っている」または「痩せている」人もいません。ガン細胞は体内で発生すると「WatchMe」システムの「medicule」によって発症前に排除されてしまいます。
英訳()もありKindleで読むことができます。 買ってしまいました。
ぼくらの大学の医学研究科には修士課程があって医師免許を持たない学生さんが大勢在籍しています。
年に一度これらの学生さんの「病院実習」という名の「病院見学」があります。
今年は28人の学生さんを手術部にお迎えました。人の話を聞いていない人もいてちょっとした修学旅行生の引率のような役回りを演じました。手術着に着替えると誰が医学科の学生と修士課程の学生の区別が全く付かなくなるので困ります。それでも研修医の先生方は明確に学生とは違って直ぐに解ります。医者になってまだ4ヶ月くらいのですが振る舞い方が手術室において違和感ないのですね。
この実習,病院内の各部署を廻っていただくのですが,担当教員を決めてその教員と一週間密着などすれば学ぶことは多いと思います。もっともそれをやり過ぎると医者をやってみたくなる学生がたくさん出て再受験予備校となる危険性はあると思います。
医者って面白い職業ですよ,単純に。
楽天が電子書籍リーダーのkobo touchとそれを用いるサービスを開始しました。
予想通り評判は良くありません。
koboにはiPhone, iPadやMac用のアプリがありません。こんな状態では買う気になりません。KindleはiPhone, iPadやMacのどれからも読み込めて同期までできるのにね。こんなので商売しようという人の気が知れません。100万台売るつもりらしいですがたぶん無理でしょう。
Kindleのリーダーはamazon.comが提供しているサービスに関連つけられているものは持っています。
Amazon.co.jpと関連したサービスももうじき始まるようです。
リーダを買い直す必要があるのならしばらく購入はしませんがファームウェアのアップグレードで済むのであれば利用すると思います。
青空文庫の リーダーはiPhone, iPad版も公開されていてよく利用します。Macでもよく利用します。
夏目漱石,芥川龍之介, 森鴎外,太宰治,宮沢賢治などの小説から随筆までほとんどを網羅していて自由に読むことができます。
電車に乗っている時間はぼくの場合はほとんど読書時間です。かばんにあらかじめ本を入れて乗り込むこともありますが乗車時間が長い場合,書店で本を買って乗り込みます。読むものがない場合,思いだしたように青空文庫の小説を読むことがあります。例えば芥川龍之介,太宰治の小説は一つ一つが短いのでいくつもまた何度でも読み返すことができます。電子書籍の利点の一つです。
ストーリーをすでに知っている小説でも出張先,旅先などその時々ぼくが置かれた環境で新発見がそのたびにあります。このように何度も何度も読み返す文章ははすでに「本」の体裁を取っている必要がぼくにはありません。意味のあるものは内容,テキストでありどのような媒体でそれを「読んでも」まったく関係はありません。
このような読み方を電子書籍となった新刊本ですることになるかは自分でもよく解りませんが少なくとも近い将来を見越してみても「それはない」のではないかと考えています。
いわゆる「自炊」もするつもりはありません。理由は単純です。面倒だからです。
いくらでも読むべき対象はあるしわざわざ自炊してまでiPhone,iPadで自分がすでに読んだ本を再読しようとは思いません。また本としてパッケージされているものはそのものとして扱う方がぼくには合っています。PDFをiPadで読むなどまっぴらごめんです。
その意味でぼくは旧い人間です。
教科書の類いでも事情は同じです。
電車の中で麻酔の教科書を読むことはないし手術室でも教科書の類いを参照することはありません。
“Anesthesia”はweb上のExpert Consult
で購読する権利を本の購入と一緒に買いました。
テキストや図を二次利用できます。参考文献にもリンクが張ってあって便利です。
タダの教科書で英語も平易であり妙な翻訳を読む必要がありません。教科書はこのような利用ができないとPDFの形でコンピュータに入っているだけでは大きな力にならないと思います。
そもそも論文でもコンピュータの画面で読むのであれば紙ベースの雑誌に掲載されている形式のPDF版に較べてよりよい形式があるはずです。”
“Nature”などではinteractiveに論文をPC上で閲覧できるサービスをすでに提供しています。
ぼくも自分のMacで読む場合はこちらを選択します。
以前に「新潮文庫の100冊」について書いたことがありました。(参照)
今年もキャンペーンが始まりました。
キャンペーングッズのブックカバーがほしいので何冊か買いました。
英雄の書(下)
甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実
と
「人間の建設」
の4冊です。
「人間の建設」は別に持っていますがよく読み返すので京都の研究室にもおいておきたいと思って買い足しました。420円ですからタダみたいなものです。
これは小林秀雄と岡潔が1960年の8/15-送り火の日ですね-に京都で行った単なる雑談を編集して出版したものですが素晴らしく示唆的で何度読んでも新しい発見があります。
ちなみに前回紹介した「人間の進歩について」も小林秀雄と湯川秀樹の雑談のようなものです。
「精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)」は結構マジですが,「人間の建設」と「人間の進歩について」は雑談。でも10倍はおもしろいです。
NHKが「スーパープレゼンテーション」という番組を放送しています。
TED conferenceでのpresentationのうち特に興味を引くものを選んで伊藤穣一さんの簡単な解説付きと字幕付きで放送しています。
録画してまとめて視ます。
Clay Shirky氏の
“ How cognitive surplus will change the world”(「“知力の余剰”が世界を変える」ーTEDのページでは「思考の余剰が世界を変える」となっています。-)はとても刺激的なpresetationでした。
リンクをたどれば,presentationがビデオに編集されたものを視ることができます。
まず視てみてください。
ビデオでは望めば日本語でプレゼンテーションのtranscriptを日本語で読むこともできます。
このような日本語訳も「知力の余剰」のおかげをこうむっているだと思います。
「青空文庫」も少なくともその始まりは「知力の余剰」故と言えます。
某診療科の先生方が大勢参加しているmailing listがあるのですが,問題提起があってもMLに意見を投稿するのでなく個人的なやりとりをする先生方が大勢いらっしゃるようです。残念な事です。
百万遍の「レブン書房」が閉店したと「京都大学新聞」で知りました。京大に在籍したことがある人は誰でも知っている本屋さんです。
(京都大学新聞は大学が発行しているのではなく京都大学新聞社が発行している月刊新聞です。頼んだ覚えはありませんが病院の各部署に配られてきます。twitterもやっていますID:@kyotounivpressです。)
寂しい限りです。新潟から上洛してはじめに入った書店が「レブン書房」でした。京都にいても近衛通りの北に行くことはほとんど無いのでノーマークでした。
東一条の交差点の「春琴堂書店」はどうなるのでしょうか。(参照) 心配になってきました。
生協が「ルネ」であこぎな商売を始めたときも生き残った「レブン書房」「春琴堂書店」が消えていくのは…
当直明けで今ひとつ身体が日本の時間になれていない感じもありますが昨日は6時間は寝ました。
Natureに植物の低酸素感知に関する論文が二つ出ています。
Homeostatic response to hypoxia is regulated by the N-end rule pathway in plants
Nature (2011) doi:10.1038/nature10534
Oxygen sensing in plants is mediated by an N-end rule pathway for protein destabilization
Nature (2011) doi:10.1038/nature10536
N-end ruleに従う蛋白質の分解が重要な鍵を握る所など似通ったところがあるというのが不思議です。
ちなみにこれらの論文で云うhypoxiaとはほぼanoxiaの条件です。
Steve Jobs氏の伝記が昨日発売になりました。
原書と邦訳の価格の差が酷いなどなにかと話題です。(参照)
確かにひどい商売です。
ぼくはナイーブに翻訳を注文したのですが全然発送されないので怒って注文をキャンセルしてKindle版を買いました。幸いぼくの手に負える英語ですのでこれで最後まで読もうと思います。
翻訳と云えばGroopmanの”Your Medical Mind: How to Decide What Is Right for You“の翻訳,「医者は現場でどう考えるか」)が出版されたようです。
よい本だと思います。
ついでに,最新作Your Medical Mind: How to Decide What Is Right for Youも出たようです。
ぼくはGawande氏よりGroopmanの方が知性的だと思います。
もう一冊
House and Psychology: Humanity Is Overratedは面白いです。あの”House“を心理学的に解剖した本です。テレビ番組を見たことのない人は楽しめないと思いますけど…
GLSの熱血解説に聞き入る院生達@Welch Library in JHU
二週間ほど遅れてiOS5にupgradeしました。確かに便利になっていると思います。なるべく早く”4S”にしたいと思います。
1Q84
は今現在まだぼくのKindleには流れてきていません。
来週の火曜日に大学院の入学試験があるようです。受からないことには始まりませんので時間まで答案用紙に向かってください。