「完全な科学者」って

On 2010/8/11 水曜日, in hypoxia reseacrh, Thus Spoke Dr. Hypoxia, by bodyhacker

台風が近づいているそうで確かに空もそんな様子でした。来週の月曜日は大文字で結局例年通り秋が確実に近づいているわけです。

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Cell Stem Cellに
Oxygen in Stem Cell Biology: A Critical Component of the Stem Cell Niche

Cell Stem Cell. 2010 Aug 6;7(2):150-161.

という総説がありました。内容が盛りだくさんすぎて今ひとつ強力なメッセージが伝わってこないのですが読んだら良いと思います。
どうせならもう少しfigureの漫画を豪華にしてもらいたかったなという印象はあります。

宇多田ヒカルがしばらく活動を止めるそうです (参照)。

この12年間、アーティストとしては色んなことにもチャレンジしたし、少しは成長できたと思います。でもこれ以上進化するためには、音楽とは別のところで、人として、成長しなければなりません。

そういう気持ちから、一つ大きな決断をしました!

来年から、しばらくの間は派手な「アーティスト活動」を止めて、「人間活動」に専念しようと思います。

これは「引退宣言」ではありません!でも、「休養」でも「充電期間」でも無いんです。

むしろ熱心に、そして謙虚に、新しいことを勉強したり、この広い世界の知らないものごとを見て知って感じて、一個人としての本当の自分と向き合う期間になると思います。それは「アーティスト活動」とは違う、「人間活動」かな、と。

ということだそうですが、さすがにうまいこと言いますね。
ぼくも20年以上病院と研究室を行ったり来たりしていただけで歳だけ取っていますが人間的にはあまり成長していません。ここでさらに進化するために「人間活動」に専念したいと思うのですが、それって何かと具体的なことが思いつきません。

新潮社の季刊雑誌「考える人」に作家村上春樹氏へのロングインタビューが掲載されていてこの週末に読む機会がありました。
その中で彼が「完全な小説家」という考え方に言及していました。19世紀ではディケンズ、ドストエフスキー、バルザック、トルストイ、スタンダールなどが例としてあげられていました。

つまり小説を書く事に疑問を感じることなく書いていた小説家達ということだそうです。

しかし近代以降の小説家は夏目漱石にしても、自分を意図的に袋小路に追い込み近代的な自我というものに向き合わずして小説を書く続けることができなくなった、との主張です。

例えばドストエフスキーが何の矛盾も疑問も感じずに小説を書いていたのかは置いておくとしてなんとなく分かります。
それでは「完全な科学者」ってどんな人と考えました。
研究をすることに疑問を感じることなく邁進した人たちってことで、沼正作先生、石坂公成先生なんてぼくの感じ方で言うと「完全な科学者」タイプです。
これがK本、Hじょ先生クラスになるとちょっと生臭い感じもしてきます。
でも本当に身近に身近にいた人たちにとっては違う受け取られ方をしているのだろうねそれが「現代」。

春樹氏は別の機会に如何のようにも書いています。

同じことが仕事についても言える。小説家という職業に−少なくとも僕にとってはということだけれど−勝ち負けはない。
発売部数や、文学賞や、批評の良し悪しは達成のひとつの目安になるかもしれないが、本質的な問題とは言えない。書いたものが自分の設定した基準に到達できているかいないかというのが何より大事になってくるし、それは簡単には言い訳がきかないことだ。

走ることについて語るときに僕の語ることより

君たちに伝えたい3つのこと―仕事と人生について 科学者からのメッセージの中山先生も「完全な科学者」なのでしょうか。少なくともそうあろうとしてはおられるような…やっぱり違うかニュアンスが。まあぼくにはついていけませんけど。
そうそうポアンカレ予想を解決してフィールズ賞を断ったグリゴリー・ペレルマンなんてそうなんでしょうか。単純すぎるか。「容疑者Xの献身」の石神でさえ煩悩からは逃れられなかったことになっているので「悟る」ことは本当に難しいのでしょうね。

それでは「完全な麻酔科医」とかはと考えると、そんなのは金輪際見たことはありませんしぼくなど生涯「未完成」だと思います。

脳死判定ですが、こんなブログエントリーがありました (参照)。やっぱりあんまし深入りはしたくありませんね。ある種の判断停止をしないことには突き進めないという側面があってそれができない人は結局この医療にかかわらない方が良いのでしょうか。

雑誌Natureの一番最後にessayが毎週掲載されています。最新号には、The silver bullet and the golden gooseというタイトルの小文が掲載されています。要約しづらいのですがちょっと引っかかる感じで面白いと思いました。

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