今日は朝から24時間の日当直です。午後、4月はじまりのスーパーな研修医の先生と帝王切開の麻酔を担当しました。彼らは医籍の登録は済んでいたのでしょうか、訊くのを忘れました。

今週の初めから花粉が鼻にきました。満足に呼吸ができずすこしボッとしてるのに報告書、申請書を10くらい抱えた上に論文のrevisionが二つという状況に追い込まれています。

今日かなりはかどり論文のrevisionは一つは完了、一つは9合目を超えました。報告書も職場の一番重要なものは98%は終わり後の報告書、申請書は頭を使う必要はないのでなんとかなりそうです。

この二つより前に送った論文はどうなっているのかな。こちらの方が目下は重要なのですが。

“Xへの手紙・私小説論 (新潮文庫)” (小林 秀雄)

“小林秀雄全作品〈1〉様々なる意匠” (小林 秀雄)

に収録されている「様々なる意匠」は折に触れて読み返します。

この文藝評論に関する小文は、評論という意味では科学評論に当てはめて考えることができるわけです。

冒頭のパラグラフ

吾々にとつて幸福な事か不幸な事か知らないが、世に一つとして簡単に片付く問題はない。遠い昔、人間が意識と共に与へられた言葉といふ吾々思索の唯一の武器は、依然として昔乍らの魔術を止めない。劣悪を指嗾しない如何なる崇高な言葉もなく、崇高を指嗾しない如何なる劣悪な言葉もない。而も、若し言葉がその眩惑の魔術を捨てたら恐らく影に過ぎまい。

 私は、こゝで如何なる問題も解決仕様とは思はぬ、如何なる問題も提出仕様とは思はぬ。私はたゞ世の騒然たる文芸批評家等が、騒然と行動する必要の為に見ぬ振りをした種々な事実を拾ひ上げ度いと思ふ許りである。私はたゞ、彼等が何故にあらゆる意匠を凝して登場しなければならぬかを、少々不審に思ふ許りである。私には常に舞台より楽屋の方が面白い。この様な私にも、やつぱり軍略は必要だとするなら、「搦手から」、これが私には最も人性論的法則に適つた軍略に見えるのだ。

よい研究とかよい論文とか評価する難しさが文藝評論の難しさと共通なものがあるということが読んでいるとわかってきます。文庫本でそろえればたったの580円です。このあまりに有名な評論を一回は読んでおいても損はしないと思います。

帰国して就職した研究所を辞めて病院に就職するときに研究の世界の表舞台で活動することはないだろうと思ったのですがそれでも結局この世界で生息し続けていますーそうですよね。お前なんて知らんよとは言わないでくださいー

麻酔の世界にも”研究”はあると思うのですがこれまたぼくとはあまり縁が深くなくここら辺のバランスがおかしいことがぼくの不幸の源泉なのかも知れません。

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